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小児科診療機能の拡充について

平成28年10月より従来の小児科診療機能に加え、週3回、月・水・金曜日に東北大学病院の医師による一般小児科の診察を行っています。
受付は午前8:15~11:00となっております。
当日の急患につきましては随時受付しておりますが事前にお問い合わせ下さい。

対象疾患と診療内容

新生児の疾患は対応不可能です。それ以上の年齢の小児の疾患にはご相談に応じております。これまで当科で対応しかねる患者さんについては,相馬公立総合病院小児科,仙台赤十字病院小児科,仙台市立病院小児科,国立仙台医療センター小児科,東北大学附属病院,仙台社会保険病院小児科,東北労災病院小児科などに紹介しております。後で述べますが,紹介した多くの患者さんは,気管支喘息の治療のために仙台や相馬から当科に長期に入院した患者さんの退院後の治療や経過観察を行なってもらうためです。
 

診療時間

外来 平日午前中です。当科の医師の時間の許す限り午後も相談にのっております。
国立病院機構宮城病院-TEL(0223)37-1131-小児科外来に電話してください。
入院 入院が必要な場合は宮城病院中央4階病棟に入院していただきます。
その他小児科関係では重症心身障害児(者)病棟120床があります。

診療の特色

独立行政法人国立病院機構宮城病院には小児科の外来そして入院設備の他に隣接する宮城県立山元支援小中学校があります。また重症心身障害児の為の高等部があります。従って入院生活を送りながら学校に通学ができます。

従って,小児の肺炎や下痢症などの一般的な病気の外来治療や入院治療は勿論できますが,当院の小児科の設備,機能の特殊性を考えると気管支喘息やアトピー性皮膚炎など長期の入院が必要な病気の子供に適しております。治療を受けながら,学校に通学ができます。

小児の病気の中には長期の入院を必要とする病気が沢山あります。それらの病気の多くは,小児慢性特定疾患治療研究事業という法律のもとで入院すると入院治療費は原則かかりません。家族の所得が多い場合はその所得の額に応じて若干の入院費の支払が必要な場合もあります。それらの対象疾患の中に呼吸器の疾患として気管支喘息が含まれております。
 

これまで国立病院機構宮城病院小児科で行なって来たこと

国立病院機構宮城病院小児科では昭和44年から小児の腎疾患,気管支喘息など長期の入院を必要とする子供たちの治療を行ってきました。長期入院をしなければ成らない小児の多くは,病気の種類によって若干の違いはあるかもしれませんが,1日中ベッドの上にいる必要はなく,それなりの観察のもとに教育を受けることは出来ます。長期の入院を可能にしているのは隣接する宮城県立の小中学校があるからです。

また同じことを述べますが国立病院機構宮城病院小児科は宮城県では子供たちが病気で入院し治療を受け,そして通学して学校授業が受けられる数少ない小児科です。

昔の長期入院は純粋に気管支喘息が主でしたが,平成になってからは長期入院療法の対象疾患は気管支喘息にその他の疾患(アトピー性皮膚炎、てんかん、不登校、肥満症等)が加わった小児の長期入院が多くなっております。治療を受けながら隣接する学校に通学し勉学に勤しんでおります。

学校は一般の小中学校と授業内容,その他はまったく同じで,簡単な手続きで転校ができます。学校には水を濾過殺菌して使用する室内プールがあります。天井が必要に応じて開閉ができます。気管支喘息やアトピー性皮膚炎の子供たちには治療面からも大いに役に立っております。

国立病院機構宮城病院小児科が力を入れているアレルギー性疾患(気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎,腸管アレルギー,蕁麻疹等)について,当科の治療方針等を述べてみたいと思います。
 

気管支喘息

[今起こっている発作は治めること],[今後発作を起こさないようにすること]を合い言葉に治療を行っております。[今起こっている発作は治めること]はどこの医療機関でもだいたい同じ様な治療法をとっております。発作が治まってもまた同じ様な生活を続けるとまた発作になります。

当科では[今後発作を起こさないようにすること]に力を入れております。1年2年と発作の無い状態を続けると気管支喘息と言う病気と縁を切ることができます。 当科に1年,2年と入院し気管支喘息から開放されたりあるいは発作を起こさなくなった子供たちは沢山おります。発作を起こさないようにする事を家で行っても,入院して行ってもよいのですが,入院して行う方がいとも簡単にそれを達成出来ると言うことであります。

当科では子供達が入院している間に,家族の方に外泊,退院に備えて家の中のアレルゲン(喘息発症の原因物質,喘息発作の原因物質)を極力減らすように色々指導しております。代表的なアレルゲンとしてはダニの糞と死骸,ネコ,イヌなどが挙げることが出来ます。最近はゴキブリの糞がアレルゲンとして挙がってきております。また喫煙者がおれば禁煙の指導をしたり,猫を飼っていればどこかに預けてもらうなど,その家庭の生活習慣の若干の変更をお願いしております。

気管支喘息の子供を家におきながら不用意に改築や増築をおこなうと発作になったりします。注意が必要です。その間だけでも入院を勧めたりもしております。

最近の7,8年は0歳児,1歳児,2歳児の乳児の気管支喘息の治療に力を入れてきました。この年齢は気管支喘息が始まる年齢です。ヒトは生れると部屋の空気を吸います。その中に含まれるダニの糞などのアレルゲンを吸い続ける内に気管支喘息という病気を発症します。生れてから第1回目の発作を起こすまでの期間を感作期間(アレルゲンに敏感になる期間)といいます。以後アレルゲンを吸い続けると発作は次第に頻回に診られるようになります。乳児で気管支喘息が発症したと思われる時,御両親と相談し,とにかく可能な限り長期に入院していただいて,その間にい家の環境の変更,家庭の生活習慣の変更をお願いしました。中には全室フローリングの家を新築した方もおられました。病院で発作を起こさなくし,そして環境調整が済んだ家に帰ると,その後発作を起こすことも無くなるようです。気管支喘息もその他の多くの疾患と同じ様に早期発見,診断そして適切な生活指導,治療が大切なことと思っております。
 

アトピー性皮膚炎

どんな重症なアトピー性皮膚炎の子供でも入院すると急速に良くなってしまいます。要はその良くなった皮膚をいかにして維持していくかということです。これも気管支喘息と同じで,家で行うよりは病棟で行う方が簡単だと言うことです。皮膚が良くなった状態で6カ月から1年間入院を継続すればアトピー性皮膚炎から開放されるようです。退院に備え,家の環境調整,家庭の生活習慣の変更等は気管支喘息の場合とまったく同じです。あるいはそれ以上に厳格に行わなければなりません。
  と言うことで病棟ではかつては重症の気管支喘息,重症のアトピー性皮膚炎であった子供たちが普通の子供と変らぬ姿で病棟の中で過ごし,そして学校に通学しております。事情の分からない人からは[なんでこんな元気な子供たちを入院させているのですか?]と聞かれます。
 

その他

どんな難治性の喘息患児でも入院すると発作は無くなり、休まず学校に通学しております。以前は平均で2年から3年の入院でしたが、最近は6ケ月から1年位の入院で退院していく喘息患児たちがほとんどです。

気管支喘息の子供たちの多くはアトピー性皮膚炎を併発して入院してきます。重症のアトピー性皮膚炎の子供たちも入院すると特別な治療をすることなく急速に良くなります。当科に入院したアトピー性皮膚炎の子供たちはその病気故にいじめにあったり、不登校になったりしております。気管支喘息よりむしろアトピー性皮膚炎の患児を積極的に入院させたいくらいです。

長年気管支喘息やアトピー性皮膚炎の子供たちをみていて気が着いたことは,これらの病気で入院する子供たちの中に太って入院してくる子供,痩せて入院してくる子供がおります。しかし1年も入院していると,どちらの子供たちも退院する頃には標準体重になります。また入院前は学校を長期に休んでいる子供たちもおります。そのような子供たちも入院すると休まず学校に行くようになります。

そのようなことから肥満や登校拒否の子供の診療にも力を入れてゆきたいと思っております。当科のこれまでの気管支喘息の子供たちの診療で得たノウハウをいかせるものと思っております。
 

当時の山元支援学校のプ-ルについて

このプールは一般の学校にあるプールとは違って、天井を外気温に応じて閉鎖できるため使用期間が長いこと、アレルギー性疾患に悪い塩素消毒方法は極力使用しないようにし、濾過消毒方法を主に使用している等の特徴を有しております。

プール完成前は入院している子供たちは近くの町営プール等を利用してきました。一回の利用で子供たちは発作を起こしたり、アトピー性皮膚炎が悪化して帰ってきたりしておりました。平成6年からはその様なことは見られなくなりました。

宮城県では始めてのアレルギー性疾患の子供たちのためのプールではないかと思います。

アレルギー性疾患の子供たちのみならずその他の疾患の子供たちの運動療法に役立てたいと思っております。
 

  • 採光に工夫を凝らした
    屋内プール

  • 天井をスライド開放すると
    屋外プールに早変わり

医師一覧


  • 小児科診療部長
    日本小児科学会専門医
    日本呼吸器学会専門医

    ほりかわ まさひろ
    堀川 雅浩

外来診療日程